「子どもの解熱剤って飲み薬より座薬のほうが効きそう」と感じたことはありませんか?
座薬はおしりから入れるため、なんとなく「強く効きそう」なイメージがありますよね。

筆者も薬局で親御さんから、そのような質問をうけたことがあります。
しかし、子どもによく処方されるアセトアミノフェン製剤では、座薬と飲み薬で解熱効果に大きな差はないとされています。[1]そのため大切なのは、「どちらが強いか」ではなく、子どもの状況に合わせて使いわけることです。
この記事では薬剤師の筆者が、子どもの解熱剤でよく使われる、アセトアミノフェン製剤の座薬と飲み薬の違いをわかりやすく解説します。
座薬と飲み薬で解熱効果に差はある?


海外の研究によると、アセトアミノフェン製剤の座薬と飲み薬では解熱効果に大きな差はみられなかったとされています。[1]座薬と飲み薬の解熱効果を比較した研究では、薬を使用して3時間後の体温変化に差は認められませんでした。
研究内容をまとめると、以下のとおりです。[1]
対象:発熱した6か月~6歳の子ども60人
方法:アセトアミノフェン製剤の座薬と飲み薬を使用する2つのグループにわけ、使用1時間後と3時間後の体温変化を比較
上記の研究では、薬を使用して3時間後の体温変化は、座薬と飲み薬でほぼ同程度だったと報告されています。[1]
子どもの解熱剤、座薬と飲み薬の違いを解説


ここでは、子どもに処方されることが多いアセトアミノフェン製剤について、座薬と飲み薬の違いをわかりやすく解説します。それぞれの特徴を知っておくと、子どもの状況に合わせて使いわけやすくなります。
座薬と飲み薬の使い方とメリット・デメリットを、以下の表にまとめました。
| 座薬 | 飲み薬(粉薬・シロップ) | |
| 使い方 | おしりから入れる | 口から飲む |
| メリット | 吐く症状がある場合でも使える | 場所を選ばずに使える |
| デメリット | 子どもが嫌がると使いづらい | 吐く症状がある場合は使いづらい |
アセトアミノフェン製剤は、体重によって使用量が変わる薬です。残っている薬を使用する際には、必ず医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。
子どもの解熱剤、座薬と飲み薬の使い方のコツ


「座薬を嫌がってしまう」「シロップは甘いので飲めると思ったのに、拒否されてしまった」といった経験はありませんか。無理に飲ませようとして困った経験がある親御さんもいるでしょう。
ここでは、子どもによく処方される座薬・粉薬・シロップ剤の3種類について、それぞれ使うときのコツを紹介します。
座薬を使うときのコツ
子どもが座薬を嫌がり、使うのに苦労している親御さんは多いのではないでしょうか。



おしりに薬を入れるときの違和感から、嫌がってしまう子もいます。そのため、できるだけ不快感を和らげながら使うことが大切です。
以下に座薬を入れるときのコツを示します。
- 冷蔵庫で保管している場合、冷たさで座薬を嫌がることがあります。手で少し温めてから使うとよいでしょう。
- 座薬の先端に水やプロペトをつけるとすべりがよくなり、入れやすくなります。
- 座薬が出てきてしまうことがあるため、入れたあとはしばらくの間、おしりをおさえるとよいでしょう。[2]
体調がすぐれず機嫌が悪いと、座薬を入れるのはなかなか大変ですよね。口から薬を飲むのがむずかしいときや、座薬が処方されている場合は、これらのコツを参考にしてみてください。
粉薬を使うときのコツ
アセトアミノフェン製剤の粉薬(カロナール細粒など)は、甘い味がついていますが、後味にやや苦さがあります。[3]
苦味があるため嫌がってしまう子も少なくありません。
粉薬は、お薬団子を作ったり、食品と混ぜたりすると飲みやすくなる場合があります。それぞれ順番に解説します。
<お薬団子を使う方法>
- まず、指先に少量の水をつけ、粉薬を少しずつ練る
- 粉薬がまとまるまで、少量の水をつけながら練る
- できたお薬団子を頬の内側につけ、水を飲ませる



ただし、水が多いと粉薬が溶けてしまうため、少しずつ水を足して練るのがコツです。
<食品を使う方法>
アセトアミノフェン製剤の粉薬(カロナール細粒など)は食品と一緒に飲むことで、苦味を感じにくくなる場合があります。
一般的に試されることが多い食品の例を、以下に示します。
- 牛乳
- 練乳やチョコソース
- アイス
- 服薬ゼリー(ぶどうやチョコ味)
一方で、以下のような酸味のある食品と一緒に飲むと、苦味を感じやすくなる場合があるため注意が必要です。[4]
- ヨーグルト
- スポーツドリンク
- りんごジュース
- オレンジジュース



粉薬を食品と混ぜる場合は、必ず少量の食品に混ぜて飲ませるようにしましょう。量が多いと、途中で食べきれず、薬を十分に飲めない可能性があります。
また、薬の種類によっては食品と混ぜることで効果に影響が出る場合もあります。そのため、食品と一緒に飲ませる方法について迷ったときは、事前に医師や薬剤師へ確認しておくと安心です。
シロップ剤を使うときのコツ
アセトアミノフェン製剤のシロップ(カロナールシロップなど)は甘く、比較的飲みやすいことが多いです。しかし中には、シロップ剤特有の甘さが苦手な子もいます。



そのようなときは、少量の水で薄めて飲ませるのも一つの方法です。
子どもによって飲みやすい方法は異なるため、いろいろ試しながらその子に合った方法を見つけてあげましょう。
解熱剤の使用に関するよくある質問


飲み薬と座薬を併用してもよいですか?
同じ成分の解熱剤の場合、併用すると薬の量が多くなりすぎて副作用が起きる可能性があります。そのため、自己判断での併用は避けましょう。使用方法について迷った場合は、医師や薬剤師に相談してください。
解熱剤は何℃で使えばよいですか?
一般的には、38.5℃以上を目安に使用するよう医師から指示されることが多いでしょう。ただし、38.5℃以上でも元気そうであれば、必ずしも使う必要はありません。反対に、38.5℃未満でもぐったりしている、元気がないなどつらそうな場合には、医師から使用を勧められる場合もあります。[5]
困ったときは医師や薬剤師に相談を


子育てをしていると、「子どもが粉薬を飲んでくれない」「座薬がうまく入れられない」と悩むこともあるでしょう。実際に薬局でも、「先生から粉薬を処方されたけれど、飲めないんです」と親御さんから相談されることも少なくありません。



お薬を受け取るときに薬剤師へ伝えていただければ、医師へ問い合わせし、薬の種類を変更できる場合もあります。
子どもに合った方法で解熱剤を無理なく使えることは、親御さんの安心にもつながります。困ったときは、一人で悩まず医師や薬剤師に相談してみてくださいね。
<参考文献>
[1]Sedigha Akhavan Karbasi , Moneyreh Modares-Mosadegh, Motahhareh Golestan,Comparison of antipyretic effectiveness of equal doses of rectal and oral acetaminophen in children,J Pediatr (Rio J),2010 May-Jun;86(3):228-32
[2]独立行政法人 労働者健康安全機構>旭ろうさい病院>診療科のご案内>部門一覧>薬剤部>外用薬>坐薬・膣錠
[3]カロナール細粒20% 50%添付文書
[4]独立行政法人 医薬品医療機器総合機構>安全対策業務>患者・一般の方からのくすり・医療機器の相談窓口>くすり相談窓口>くすりQ&A>知っておきたい薬のはなし>Q8赤ちゃんに医師から処方された粉薬を飲ませるよい方法を教えてください。
[5]独立行政法人国立病院機構 三重病院>ニュースレター>2010年9月号>熱下げ派?熱維持派?/イチオシ図書「子どもの心のコーチング」
